女性の飲酒 ~生活習慣の観点からの注意事項~

女性の飲酒でまず重要なのは、「同じ量でも男性より影響を受けやすい」という点です。女性は一般に体内水分量が少なく、同じ量のアルコールを摂取しても血中アルコール濃度が高くなりやすいことが知られています。また、アルコール分解能力にも個人差があり、女性では少量・短期間の飲酒でも肝障害や依存に進みやすい可能性が指摘されています。そのため、「同僚と同じペースで飲む」「私は強いから大丈夫」という判断は安全とは言えません。

飲酒量は、お酒の種類や杯数ではなく「純アルコール量(g)」で把握することが重要です。厚生労働省では、純アルコール量を「飲料量(ml)×アルコール度数(%)÷100×0.8」で計算することを示しています。例えば、ビール500ml(5%)は純アルコール約20gに相当します。女性では、1日平均で純アルコール20g以上になると、生活習慣病や肝障害のリスクが高まるとされており、これが一つの注意ラインとなります。

消化器症状から特に重視するのが肝臓への影響です。アルコールは肝臓で代謝され、飲酒が続くと脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変へと進行する可能性があります。肝障害は初期には自覚症状が乏しく、健康診断でAST、ALT、γ-GTPの上昇や脂肪肝を指摘されて初めて気づくことも少なくありません。こうした所見がある場合、まず飲酒量を見直すことが最も重要な対策となります。

また、飲酒は体重増加や高血圧、脂質異常、血糖異常などの生活習慣病とも関連します。アルコール自体が高カロリーであることに加え、「お酒で食欲が増す」「締めに炭水化物を摂りやすい」といった行動変化が影響します。飲酒量を減らすことで血圧が低下することも報告されており、減酒は生活習慣改善の有効な手段です。

女性特有の重要な注意点として、妊娠中・授乳中は禁酒が原則です。アルコールは胎児や乳児の発育に悪影響を及ぼす可能性があり、厚生労働省も「妊娠・授乳中の飲酒はやめましょう」と明確に示しています。また、乳がんなど一部のがんについては、少量の飲酒でもリスクが上昇する可能性が指摘されており、女性の飲酒は「少なければ安全」とは言い切れません。

日常生活で実践できるポイントとしては、

  1. 純アルコール量で飲酒量を見える化する
  2. 連日飲酒を避け休肝日を設ける
  3. 寝酒を習慣にしない
  4. 健康診断の結果を定期的に確認し異常があれば早めに相談する
  5. 飲まない選択を周囲が尊重する環境をつくる

の五点が挙げられます。これらを意識することが、女性の健康を守る上で重要です。

働く女性のためのウエルビーイング編集部

【出典】
・厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)
・厚生労働省 e-ヘルスネット「アルコールによる健康障害」「女性と飲酒」
・世界保健機関(WHO)「Alcohol and cancer」「Alcohol and breast cancer」

 

医師に聞く Q&A

眠れないので寝酒の習慣がある方も多いのではないでしょうか?
消化器内科医、産業医として女性の健康、地域医療にご活躍の品川区戸越「もちづき内科クリニック」院長、望月香織先生に「寝る前の飲酒」が与える影響について伺いました。

眠れないときにお酒を飲む方、習慣になっている方がおられますが、寝酒は睡眠の質を下げる代表的なものです。寝つきが良くなるように感じられますが、実は睡眠は浅くなり睡眠の質は低下してしまいます。一時的に眠気、入眠を感じてもそのあと、体内でアルコールが代謝されると逆に交感神経が活性化し睡眠中に覚醒しやすくなってしまいます。また、トイレに起きてしまうことが多くなるのは、アルコールには利尿作用があるためです。その他にも、筋弛緩作用によりいびきや睡眠時無呼吸を悪化させるため呼吸を連動した睡眠の質を低下させてしまいます。消化器系に与える作用としては、睡眠中に胃酸の逆流が起こり逆流性食道炎などの消化器の症状が悪化につながる場合もみられます。

いきなり寝酒を辞めるのは難しい場合は、飲酒時間の前倒し、(就寝時間の3~4時間前までに)、量を減らすことが難しい場合は、炭酸水や、水、を飲酒の合間に飲む、薄める、など工夫することでアルコールの血中濃度のピークが下がり睡眠の質の改善につながりますので行動を少しずつ変えていくことも大切です。

睡眠の質を高めたい場合は、寝る前の行動習慣を見直し、寝酒を避け、温かい飲み物を飲んだり、軽いストレッチや腹式呼吸をしたり、自分に合ったリラックスする方法を選んでみてください。

もちづき内科クリニック 院長 望月香織

平成6年、東海大学医学部医学科卒業。東海大学附属病院の研修医修了後、消化器内科に入局する。
東海大学消化器内科研究員を経て平成19年より4年間、海外留学を経験(パリ大学フランス語文明講座上級クラス卒業)。

在仏中、在フランス留学生協会、海外傷害保険会社などで在仏駐在員、留学生への「健康・生活相談」をはじめとしたサポートを行う。

帰国後、公立病院内科部長、クリニック院長として内科診療、健診、人間ドックなどの臨床に従事。また海外渡航医療専門クリニックにて経験を積む。
2004年より、産業医活動を開始。大手メーカー主任産業医をはじめ金融、運輸、広告、製薬、外資系企業など多くの企業の産業医を経験。
平成29年8月、もちづき内科クリニック開院。

もちづき内科クリニック

施設紹介

もちづき内科クリニックは、戸越公園駅より徒歩約3分、品川区にある内科・アレルギー科のクリニックです。
皆さまの「かかりつけ医」として、女性医師が丁寧でわかりやすい説明と、女性目線のやさしい診療を心がけています。

平日にお忙しい方にも通っていただきやすいよう土日診療も行っており、週末の各種健康診断や雇入時健康診断も可能です。

一般内科をはじめ、花粉症などのアレルギー疾患、生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症など)、不整脈、便秘など、幅広いお悩みに対応しています。
またビタミン注射や疲労回復点滴などの自由診療も行っております。いま話題のNMN点滴のお取り扱いもございますので、お気軽にお問合せください。

施設名 もちづき内科クリニック
診療科目 内科、アレルギー科
電話番号 03-6426-2711
所在地 〒142-0041 東京都品川区戸越4-9-12 アビタシオン戸越
ホームページ https://mochizuki-medical.co.jp/

診療案内

9:00 – 13:00
15:00 – 19:00 ※1 ※2

※1 土曜PM:14:30 – 18:00
※2 日曜AM:14:00まで(午後休診)
休 診 日 :月、火、祝、金AM

アクセス

<最寄り駅>
・東急大井町線「戸越公園」駅から 徒歩約3分
・都営浅草線「戸越」駅から 徒歩約9分
・東急池上線「荏原中延駅」から 徒歩約12分